いつもの散歩道、長い黒塀に沿って歩いた。
途中、植木とぶつかったところで木の形に塀をくり抜いた仕事がしてある。
広大な庭からすれば、抜くか切るかしても差し支えもないだろうに、
手間をかけ、木を残した主人や職人の心意気に敬意を表したい気がする。
塀が上り坂にさしかかると、黒塀から石垣に変わり全く別の表情を見せる。
最上部に塀らしきものが見えるが、急斜面には熊笹やシダが茂って天然の要塞のようである。
別荘とは言え、我々凡人からすると、廷内に森から滝まであるのは、とても家とは思えないし、
緑地や景観として街の財産だと思うが、ここに住みたいとは思わない。